Tuesday, July 29, 2025

Terry The Rocket 2

 

 
テリーの1950 6T。

今から約25年前、アメリカのラスベガスまで行き、

現地のオークションで僕自身が落札してきた思い出の一台。

当時スマホなんてモノは無く、写真といえばまだフィルムの時代。 

  

 


オーストラリアでフルレストアされ、アメリカからやってきた6Tも

あれから25年が経ちました。

彼にとって初めてのバイク。しかも25年間ぼほ彼自身でメンテナンスをしてきました。

 フルレストアされてピカピカだった車体も今はボロボロのサビサビ。

若かった彼は純正ににこだりすぎる事はなく、

道具として走り続ける事を選択し、

20年間一度も路上で立ち往生する事もなく走ってきましたが、

昨年大量の白煙を吹き、ついに走れなくなってしまいました。

おおらかな性格の彼も、ついにエンジン腰上のOHを決断。

事情により、腰上だけ預かり、ヘッドとシリンダーの加工、

その他部品の加工や調整をしたうえで、彼の自宅の駐車場で組む事になりました。

初の青空整備です。 

 














正月にほぼ彼一人で組み上げました。
 
 
 
完成しました。
 
フィルムカメラで撮りました。
コニカC35です。 
 
約30年くらい前から利用している写真屋さんで
現像してもらいました。 
 

慣らし中。絶好調。
 
 
 
かなり前の事ですが、車に当てられて車体を倒した時に
 
ハンドルが微妙におかしな方向を向いてしまいました。
 
長い事そのまま乗っていましたが、やっと手を入れる事になりました。
 
ステムシャフト交換です。NOSを見つけましたが、
 
ステムナットのネジ山がおかしな事になっていたので、
 
旋盤でネジ山再生。
 
 
 
 完成。サイコー。
 
 
ついでにNOSのトップブリッジも入手して交換。
 
 


 

 

25年使った前後タイヤは、

この世の物とは思えないほどの割れ方をしていたので

交換しました。

 

今後は、 

引続き今までやりたくてもできなかった部分や、

見て見ぬふりをしていた部分を

コツコツ直していく事になると思います。 


Wednesday, July 23, 2025

TR5T その後28

 

2014年から定期的に整備をして今年で11年目です。

今回も定期的なオイル交換や各部点検のために預かりました。

 ちなみにこの車両オリジナルペイントでノンレストア車両です。

フルオリジナルとはいきませんが、ヒストリーを感じさせる雰囲気です。 

外観はヤレてますが、中身にはすべてに手が入ってます。

市場のトライアンフのほとんどが一度はフルレストア済という中、

かなりレアな存在ではないでしょうか。 

 

さて今回、試乗中に地面に落ちるオイルの量が多い事に気が付きました。

 

 

 
プライマリーやスプロケ付近からのオイル漏れがひどかったです。
 
臭いや色からしてギアオイルの漏れと判断しました。
 
そのため、スプロケ付近までバラして点検する流れになりました。
 
 
ギアボックスの後ろのフレームやスイングアームもオイルまみれでした。
 
 
 
スプロケのスプラインのガタが多くなっていた事に加え、
 
オイルシールからのオイル漏れもありました。
 
このあたりが原因ですね。 
 
しかも、この時点でトランスミッションがおかしい事に気が付きました。
 
メインシャフトを回すとカリカリとずっと音を出しており、
 
おそらくキックシャフトのラチェットではないかということで、
 
この流れのままギアボックスも分解して整備することになりました。
 
 
久しぶりのご対面です。
 
 
ラチェットの板が1速に元気に当たってました。 
 
 

 
やはりキックシャフトのラチェットの板が
 
ハウジングからズレて外に飛び出してきていて、
 
1速のギアに常に当たっていました。
 
いろいろな要素が考えられるのでどうやって直そうか結構悩みました。
 
 
試行錯誤を繰り返し、うまくいったと思います。
 
ベンチテストでは全く当たらない事を確認して次へ。
 
 
 
 奥のスラストワッシャーは全くダメージ無しでした。
 
 
もう掃除大変!
 
 

 
 ギアボックスを分解ついでにシフトシャフトの整備もやりました。
 
写真だとわかりにくいですか、爪が出てきてしまっています。 
 
この部分は無条件で整備です。 
 
 
爪はすべて分解して整備しました。
 
爪の動きが渋かったのでボア側をホーニング。
 
割りピン交換、Oリング交換、グリスアップ。
 
 
シフトリターンスプリングハウジングの上面と
 
ギアセレクタープレートとが干渉して削れていたので
 
当たらなくなるまで研磨+調整。
 
 
ギアセレクタープレートのシフトシャフトの爪が通る部分にバリがでており、
 
そのバリもさっきの写真のオレンジの面を削ってしまう要因の一つ。
 
ここは研磨とポリッシュしてスムーズにしておきました。
 
構造上当たってしまう確率が非常に高いので、
 
当たってもダメージが少なく滑ってくれるようにツルツルにしておきました。
 
 
 
これがギアセレクタープレートとシフトリターンスプリングハウジングのクリアランス。
 
すごい狭いしかなり近いです。できるだけ当たらないように調整しました。 
 
 
 
クラッチレバー部も全部分解して整備しました。
 
 
なかなか手が届きにくい部分だけに、
 
こういうタイミングでシフト関係、クラッチ関係の部品を
 
すべてしっかり整備しました。
 
 
 ギアセレクタープレートシャフトのOリング交換、割りピンも交換 
 
かわいい佇まいです。
 
 
 

 続いてクラッチセンターへ。
 
中のダンパーラバーが溶けて外に出てきてしまっていました。
 
 
中身を確認しました。
 
ダンパーゴムのみ交換で行く予定でしたが、 
 
今回はいろいろと検討した結果、アッシーで交換することになりました。
 
 
 
 


新しいクラッチセンターを入手して各部確認しました。
 
 スパイダーのスプラインにバリがたくさんあって、
 
ハブが全然入りませんでした。根気よく削るしかなかったですね。 



分解してスパイダーを加工しました。
 
毎回この加工を必ずやります。 
  
 



オイルシール交換しました。
 
 
 
ゴム類の劣化が各部激しくなってきたので、
 
念のためタイミングカバーのオイルシールも交換することに。
 
カムのオイルシールは芯出しをしてあるので
 
いまだにオイルの滲みすらありませんでした。
 
 
 
悪くなってからでは遅いので2個とも交換しました。
 
 
続いてレイシャフト1速ギアのブッシュ。
 
ブッシュが横に動いてしまって、ブッシュ端面にダメージがありました。
 
ここはスモールユニットの泣き所かもしれません。
 
 
このブッシュの挙動を踏まえ、今回はリン青銅のブッシュを入れました。
 
シャフト外径に合わせて内径を1/100mm単位でホーニングしました。
 
クリアランスは少しタイトに決めました。 
 
 もちろん対策済です。
 
 

クラッチ裏のバックプレートのケース当たり面を旋盤加工。
 
結構歪んでいたので面出ししました。

 
面出しプラス少し小細工しておきました。
 
 

 

キックシャフトのオイルシールも交換済。
 
 
 
バックプレートのオイルシールも交換

 
 
ハブのワッシャーも交換。
 
ベアリング20個は全くダメージが無いのでそのまま使いました。
 
 
 

  
スタティック点火タイミング調整
 
 
エンジンを始動後に再度タイミングライトで再調整。
 
必ずずれているので必須です。
 
東京の住宅街でやるには気を遣う作業です。
 
 
 
以前のスプロケのスプラインがガタガタで、
 
フロントスプロケットを新品に交換したので、

 
やはりリアスプロケットとチェーンも交換した方が良いですね。

 
 スプロケとボルト類、チェーンも新品に交換しました。
 

どうもキャブの調子が悪いので一度分解してOHすることにしました。
  
 
 
エアフィルターも洗浄、ガソリンホース新品、
 
ガソリンフィルターも分解清掃。
 
 
ケーブルのアウターが割れて裂けてました。
 
 
 
補修。
 

インナーワイヤーも確認しましたが、すごい状態が良いので
 
 このままグリスを塗って、タイコにハンダを流しました。
 
このあと、試乗を繰り返してキャブのセッティングを煮詰めました。
 
 
 
バッテリーキャリア下のゴムブッシュが割れてしまって
 
バッテリーキャリアが前後にガコンガコン動きまくっていたので、交換しました。
 
 
 
バッテリーキャリアのゴムブッシュもすべて交換しました。
 
 
11年前に新品に交換したメインキーのゴムもボロボロなので交換しました。
 

今回はバッテリーも新品。
 
バッテリーストラップのゴムもボロボロだったので新品で作り直しました。 
 

 
ギアオイルの量は毎回疑問だったのですが、
 
今回、相~当~煮詰めました。
 
 
最終的に、アマルに関しては
 
パイロットジェットとフロートボウルのドレンボルトガスケットも変えました。
 
 プライマリーの銀色ブリーザーホースもカチカチだったので新品に交換しました。
 
 
 
 
かなり時間かかりましたが、すべて終わりました。
 
毎度辛抱強く待ってくれるオーナーに感謝します。 

(終)
 
 
 
 
 
サイドカバーつけるの忘れてました。

ここのゴムも交換しました。
 
 
サイドカバー装着。
 
 
今回タペットキャップもすべて交換しました。
 
 
(終)