2014年から定期的に整備をして今年で11年目です。
今回も定期的なオイル交換や各部点検のために預かりました。
ちなみにこの車両オリジナルペイントでノンレストア車両です。
フルオリジナルとはいきませんが、ヒストリーを感じさせる雰囲気です。
外観はヤレてますが、中身にはすべてに手が入ってます。
市場のトライアンフのほとんどが一度はフルレストア済という中、
かなりレアな存在ではないでしょうか。
さて今回、試乗中に地面に落ちるオイルの量が多い事に気が付きました。
プライマリーやスプロケ付近からのオイル漏れがひどかったです。
臭いや色からしてギアオイルの漏れと判断しました。
そのため、スプロケ付近までバラして点検する流れになりました。
オイルシールからのオイル漏れもありました。
このあたりが原因ですね。
しかも、この時点でトランスミッションがおかしい事に気が付きました。
メインシャフトを回すとカリカリとずっと音を出しており、
おそらくキックシャフトのラチェットではないかということで、
この流れのままギアボックスも分解して整備することになりました。
久しぶりのご対面です。
やはりキックシャフトのラチェットの板が
ハウジングからズレて外に飛び出してきていて、
1速のギアに常に当たっていました。
いろいろな要素が考えられるのでどうやって直そうか結構悩みました。
ベンチテストでは全く当たらない事を確認して次へ。
ギアボックスを分解ついでにシフトシャフトの整備もやりました。
写真だとわかりにくいですか、爪が出てきてしまっています。
この部分は無条件で整備です。
爪はすべて分解して整備しました。
爪の動きが渋かったのでボア側をホーニング。
割りピン交換、Oリング交換、グリスアップ。
ギアセレクタープレートとが干渉して削れていたので
当たらなくなるまで研磨+調整。
ギアセレクタープレートのシフトシャフトの爪が通る部分にバリがでており、
そのバリもさっきの写真のオレンジの面を削ってしまう要因の一つ。
ここは研磨とポリッシュしてスムーズにしておきました。
構造上当たってしまう確率が非常に高いので、
当たってもダメージが少なく滑ってくれるようにツルツルにしておきました。
すごい狭いしかなり近いです。できるだけ当たらないように調整しました。
なかなか手が届きにくい部分だけに、
こういうタイミングでシフト関係、クラッチ関係の部品を
すべてしっかり整備しました。
かわいい佇まいです。
中のダンパーラバーが溶けて外に出てきてしまっていました。
ダンパーゴムのみ交換で行く予定でしたが、
今回はいろいろと検討した結果、アッシーで交換することになりました。
スパイダーのスプラインにバリがたくさんあって、
ハブが全然入りませんでした。根気よく削るしかなかったですね。
分解してスパイダーを加工しました。
毎回この加工を必ずやります。
オイルシール交換しました。
念のためタイミングカバーのオイルシールも交換することに。
カムのオイルシールは芯出しをしてあるので
いまだにオイルの滲みすらありませんでした。
ブッシュが横に動いてしまって、ブッシュ端面にダメージがありました。
ここはスモールユニットの泣き所かもしれません。
このブッシュの挙動を踏まえ、今回はリン青銅のブッシュを入れました。
シャフト外径に合わせて内径を1/100mm単位でホーニングしました。
クリアランスは少しタイトに決めました。
もちろん対策済です。
結構歪んでいたので面出ししました。
面出しプラス少し小細工しておきました。
ハブのワッシャーも交換。
ベアリング20個は全くダメージが無いのでそのまま使いました。
必ずずれているので必須です。
東京の住宅街でやるには気を遣う作業です。
以前のスプロケのスプラインがガタガタで、
フロントスプロケットを新品に交換したので、
やはりリアスプロケットとチェーンも交換した方が良いですね。
スプロケとボルト類、チェーンも新品に交換しました。
エアフィルターも洗浄、ガソリンホース新品、
ガソリンフィルターも分解清掃。
ケーブルのアウターが割れて裂けてました。
このままグリスを塗って、タイコにハンダを流しました。
このあと、試乗を繰り返してキャブのセッティングを煮詰めました。
バッテリーキャリアが前後にガコンガコン動きまくっていたので、交換しました。
バッテリーストラップのゴムもボロボロだったので新品で作り直しました。
ギアオイルの量は毎回疑問だったのですが、
今回、相~当~煮詰めました。
パイロットジェットとフロートボウルのドレンボルトガスケットも変えました。
プライマリーの銀色ブリーザーホースもカチカチだったので新品に交換しました。
毎度辛抱強く待ってくれるオーナーに感謝します。
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